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自己破産とはどんな手続き?
債務者の借金額が大きく、将来的にも継続して返済できないことを支払い不能の状態といいます。どういう場合に支払不能とみなせるかといいますと、1ヶ月の収入の中から、最低限かかる生活費用を差し引いて残る金額を、3年くらいかかって分割で返済していったとしても、とても返しきれないというケースです。
そのようなケースでは、債務者が破産することにうよって、借金を整理する方法しかありません。それが、自己破産です。
昔は破産をするとすべての財産を無くし、親戚や家族にも恥ずかし思いをさせたり、食事も取れない惨めな状態になると思われていましたので、破産を躊躇する方が大勢いましたし、実際にもそうでした。確かに大昔から続いた破産は、社会から負け犬の烙印を押される、とても不名誉なことだったみたいです。現代では法律も改まり、大変大きく破産の意味は変わりました。
終戦から破産制度の意味は、借金の返済がしたくてもできないで困っている人、借金の返済が不能に陥った方を救い、やり直すためのチャンスの手続になったと思えるのです。ただし、ここでは個人の破産について話していますので、同じ破産でも、会社の破産のルールとは違うことを付けて加えておきます。
現在では、個人が借金をして返済できなくなるケースは、消費者金融からの借り入れや、零細企業経営者の経営破綻、リストラなどにあって住宅ローンが払えなくなった、といったことが一般的です。
現在の法制度では、破産イコール破滅や自滅ではありません。それどころか、人生をやり直すチャンスなのです。もちろん、子供に迷惑をかけ子供の未来をうばうものでもありえません。そのことをまずはご理解ください。
自己破産の手続きは2パターンある
自己破産の手続きを始めるには、どうすればいいのでしょう?
自己破産の手続きは、家や土地、乗用車、株など債権者にめぼしい財産がある場合と、財産のない場合で異なります。ただ、債務者が裁判所に破産手続き開始を申し立てる出発時点は同じです。これを破産手続き開始、免責許可申立といいます。申し立ては債権者本人でもできますが、間に弁護士が入ると、債権者は債務者と直接接近できなくなるので、嫌な取立てから逃れられるメリットがあります。弁護士が代理人として債務者本人の防波堤になるわけです。
裁判所に申し立てをするには書類に記入し、住所がある地方の地方裁判所かその支部に書面で提出します。書類の内容は裁判所によって決まった書式がありますから、本人で申し立てる場合には、裁判所に問い合わせ確認することをおすすめします。
申し立てが受理されると、裁判所から呼び出しがきますから必ず出頭して、裁判官の質問に口頭で答えることになります。これを審問といいます。その結果、裁判官が債務者に返済していく能力がないと判断すると破産手続き開始決定となります。これによって、債務者は破産者となるわけです。
その後、債務者に財産があるか否かで手続きが違ってきます。
財産を所有している人の自己破産
もし自分に財産があった場合、自己破産の手続きはどうなりますか?
債務者が所有している財産が破産手続きに必要な費用と、さらに債権者に分配できるだけの価値があると判断されれば、裁判所は破産手続開始決定と同時に、裁判所の指定した弁護士が破産管財人として選ばれます。この時点で、債務者の財産を管理し処分する権利は本人の手を離れて、破産管財人のもとに移ります。ただし、それ以降に新たに手に入れた財産は債務者のものです。
破産管財人の最大の役割は、債務者が持っている財産を売ったりお金に換えることで、債権者に不公平にならないよう分配することです。これを配当といいます。そのために破産管財人は債権者を全員あつめて債権者集会を開きます。このとき債務者は、破産管財人や債権者に求められたら、集会に出向いて説明をしなくてはなりません。
債権者集会では配当を額を確定します。言い方は悪いですが、財産の分け前を決めるわけです。それが決まると、破産管財人はお金に換えた財産を各債権者に配当します。そして、配当が済んだところで、裁判所が破産終結決定をします。
その先は財産のないケースと同じで、裁判所が免責の審査に進みます。
財産を所有していない人の自己破産
債権者に分ける財産らしきものがない場合はどうなりますか?
裁判所に破産申してたてをして、裁判所が債権者に配当できる財産らしき物を持っていないなと判断すると、財産を所有している人とは違って、手続きは簡単で早いです。
財産をお金に換えて配当する手続きがないわけですから、破産手続開始決定と同時に、裁判所は破産の手続が終わりを決定します。これはを同時廃止と呼びます。
破産の申し立てを裁判所にする時に同時廃止も一緒になっていますので、別の手続はいりません。
財産がある人の場合の破産手続には、それなりの費用がかかりまが、同時廃止ではお金はあまりかかりませんので、その点でも心配は不要です。
なお、データによると、自己破産の手続を考えた債務者の90%以上が、めぼしい財産を持っていないのが実状です。
同時廃止が決定されると、次に裁判所は免責の審尋に入ります。その後、無事に免責が決定されれば、そこではじめて債務の支払い義務がなくなります。この免責の決定こそが、債務者の最終目標といえます。
自己破産できる状態とは?
自己破産が認められるには、どんな条件が必要でしょうか?
自己破産が認められるか認めらねないかは、裁判所が最終的に判断します。
まず、債務者がどのようにしても、将来的にも縦続的に返済ができない状態を支払い不能とみなします。ここで注意していただきたいのは、支払いができない状態が一時的なものであり、近い将来に支払いを続けていくだけの見込みがある場合は、支払い不能とは認められないことです。そのケースでは、破産手続開始の申し立ては却下されてしまいます。
裁判所は、債権者が本当に支払不能かを、申し立て時の書類と口頭による質問とで判断します。年齢、性別、健康状態、財産、信用の度合、職業、手取り月収、家族構成、事情、支出といった具体的な状況を総合的に判断します。
支払不能とみなせるケースを単純化していうと、債務者の1ヶ月の収入から最低限の生活費を差し引いた金額がゼロかマイナスになるといった場合か、差し引いた金額に多少残りがあり、それで、3年くらいかけて分割で返済しても、とても返しきれないという場合です。
支払い不能が認められるまで
支払い能力があるかないかは裁判所が判断する。審問の場で債務者の年齢、職業、資産の有無などの詳細な情報を聞き、さまざまな条件を客観的に見て支払う能力の有無が判断される。
■支払能力の有無を判断する基準
・年齢
・性別
・現在の職業
・資産の有無
・無職の場合、今後就職できるだけの技能を持っているか
・親戚緑者から協力を得られるか
※一般的に、債務者の収入や資産などから借金の返済計画を立て、3年~5年以内に完済することができないなら、支払い能力がないと判断される。
■例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
年収300万円の会社員が、複数の消費者金融から年利15%で500万円を借り入れているとしましょう。
3年で返すとなると毎月17万円、5年で返すとなると毎月12万円も返済にあてないといけません。しかし、債務者にも生活があるので、給料の半分以上を返済にあてるのは困難とみなされ、支払不能と判断されます。
自己破産するとどうなる?
自己破産すると、自分の生活や子供にも悪い影響があるでしょうか?
子どもたちに何か迷惑がかかるのではと心配しています。その気持ちはよくわかりますが自己破産したからといって、本人はもちろん子供や親類縁者の日常生活に不利益になるようなことはありません。
戸籍謄本や住民票に記載されることもありませんし、選挙権や被選挙権もなくなりません。
懲戒免職の理由にもなりません。まず、この点をご理解下さい。そのうえでこれから説明する、自己破産することによるメリットとデメリットを確認してください。
破産手続開始決定をなると、債務者の住所氏名が官報に載ります。官報は法令公布などを公告する国の機関紙ですが、一般の人目にふれることはほとんどないといっても過言ではありません。
そして、官報に掲載されて2週間が過ぎると、裁判所から債務者の本籍地の市区町村宛にその旨の通知が発送されます。ここで本籍地の町や村の人たちに、自己破産が知れ渡ってしまうと心配する必要はありません。役所は個人情報の倉庫のようなものですが、公職者や公務員には厳しい守秘義務があるのでご安心下さい。
注意しなければならないのが、破産決定によって資格を失う職業や立場があるということです。弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、株式会社、有限会社の役員などです。
もうひとつのデメリットは、信用情報機関に破産したことが登録され、破産申し立てから金融機関とカードやローンを利用することができないわけですが、借金に頼らない生活をすればいいのであって、これは必ずしもデメリットとは言えないと思います。
自己破産のメリット
では、自己破産することで得られる利益と不利益を整理しましょう。
債務者が自己破産を選ぶ理由は、支払い不能な借金の返済負担から開放されることにほかなりません。借金を整理し、経済的にもう一度やり直していくための機会を与えられる。それが最大のメリットです。
もう少し細かく見ると、まず自己破産の申し立てを弁護士に依頼することで、しつこい取り立てがなくなりまり、通常の生活を取り戻すことができます。債務者に財産がなければ、日常生活に必要な物を失うこともなく、安心して生活を続けることができます。そして、最終的に免責されれば、借金のすべてを返済する必要もなくなります。
■借金から開放される
免責の許可が下りれば、すべての債務が帳消しになります。債務がなくなることが、メリットといえるでしょう。
■債権者の取立てがなくなる
自己破産の申し立てをした後に取立てをすることは法律で禁止されているため、これまで続いていた取り立て行為はすべてストップします。
自己破産のデメリット
一方、自己破産をすると、どんなデメリットがあるのでしょうか?日常生活には何ら支障がないことは説明しました。ただし、公的、私的な資格を制限されることがあります。破産者は弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、公証人、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会保険労務士などの仕事につくことはできません。後見人、補佐人、遺言執行人といった民法上の資格を得ることもできなくなります。破産管財人が選任された場合は、債務者は自分の財産の管理処分権を失うことになるばかりか、自由の制限を受けることもあります。破産管財人や債権者の要求があれば、破産について説明しなくてはなりません。住む場所も裁判所の許可なく勝手に引越ししたり、長期の旅行をしてはいけないことになっています。裁判所が必要と認めれば、身柄を拘束されることもあります。
しかし、以上のような不利益は、破産手続終了とともに解消されます。特に財産のない人の同時廃止のケースではごく短期間です。免責された後も続く不利益としては、5年~10年間ブラックリストに載ることと、新たに借金をつくり破産しても7年間は免責を受けることができないことです。
■財産を失う
(不動産、車、保険など)原則として20万円以上の財産です。
※新破産法では99万円まで現金は所持することが可能。
■保証人に迷惑がかかる
保証人に請求が行きます
■破産者名簿に掲載される
破産者名簿に記載されます。第三者の方が勝手に見ることができません。免責を受ければ名簿から消えます。
■官報に掲載される
国が発行している新聞に名前と住所が載ります。しかし一般の方が見ることはほとんどありません。
■ブラックリストに載る
信用情報機関に破産したことが載ります。10年間はお金が借りづらくなると思います。
■職業の制限がある
制限されるのは免責がおりるまでの期間で、その後であれば問題ありません。
●自分で自己破産をする場合の費用
同時廃止事件
申し立て手数料:1500円
予納郵券:5千~2万円
予納金:1万~4万円
管財事件
申し立て手数料:1500円
予納郵券:5千~2万円
予納金:最低50万
管財事件は、財産がある人の手続きで、予納金が高くなりますが、自己破産を行う人の殆どは同時廃止事件になると思われます。
●自己破産を弁護士・司法書士に依頼した場合の費用
申し立て手数料:1500円
予納郵券:5千~2万円
着手金:1~40万円
報酬金:20~50万円(免責が得られた場合に発生する)
管財費用:最低20万円(管財事件の場合)